前回、抱えてたものを手放すことを書いた。
手放した後に、手放して空いたスペースに何か入れたくなった時、
不便なものを入れてみることを提案する。
私の場合、不便といえば「着物」です。
「目に見える」「わかりやすい」楽しめるものは、いろんな場所に揃ってきた。
欲が深い我々は、また昔を振り返って
「目に見えない」「わかりにくい」ものを楽しむようになるのでは。
現在も着物柄にもよく使われる「源氏香」という柄がある。
「源氏香」は、昔のゲーム。
5つのお香の香りをひとつずつ順番に嗅ぎ(香道では”聞く”と言いますが)
最初に嗅いだ香りと、3番目が一緒だったはず。とか、
5つ全部違った、とか答え合わせをするゲーム。
嗅いだ香木を横に5本並べる。
5つとも違えば、下記の通り。
それぞれ1つずつ違う香りでした、と回答する。
2番目に嗅いだのと、4番目が一緒で、3番目と5番目が一緒だったよね。1番目は単独でした。なら、
となる。
5種類の香木を各5包ずつ(計25包)用意するので、
このゲームは全部で52通りの答えが存在する、ようです。
それを、源氏物語五十四巻のうち桐壷と夢浮橋の巻を除いた五十二巻にあてはめる。
そして、答えは柄を見て、源氏物語のどの巻名なのか、答える。
ここで巻名で答えるところがオシャレです。
そして、多分上級者は、巻名が入った句を詠んだり。
さらには、その巻の内容を想起させるような歌を詠み、
間接的に正解を告げるようなことをしてたんでしょうね。
その歌を聴いて、あぁ、正解。ってわかる人たちの集まり。
わかる人だけが楽しめるゲーム。
日本文化のいいところ。
はっ、タイトルが全く関係なくなりましたが
不便や、合理的の反対にあるもの、無駄のようなものが、こころを豊かにする。
ギャラリーやホテルのロビーにある何もない空間、
一見すると無駄な空間。それがゆとりを生んでる。
不便に包まれたときに、便利だったことを知る。
着物を着て、不便を身体で体感してほしい。
体感しないと知ることのできないことを私も集めよう。
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